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世の中のコンテンツマーケティングが繰り返し失敗している、たった1つの原因

コンテンツの企画・作成・拡散のフローはどうあるべきか。

コンテンツマーケティングの施策がよく失敗する背景には、ある問題がある。それは、「オーディエンスを理解せずに、アイデア先行でコンテンツを作ってしまうこと」だ。コンテンツの企画・作成・拡散のフローはどうあるべきか、ランドが解説する。

コンテンツマーケティングは反復プロセスだ。僕たちは、作成したコンテンツの成果を分析することで学び、改善する。

ただし、だからといって、事前にそうした成果を把握しておいて悪いはずはない。いちばんいいのは、実際にコンテンツ作成に労力を注ぎこむ前に、オーディエンスが何を求めているかを知ることだ。

今回のホワイトボード・フライデーでは、ランドが(棒人間のレイニー・ビル氏とヘイルストーム・ハル氏と一緒に)、そうした知識があればいかに有利にコンテンツを生かせるかを説明する。

コンテンツへの投資は、オーディエンスのニーズを把握してから
WhatTheWeather.comのレイニー・ビル氏はあるアイデアを思いついた。
「気象予報士が季節ごとに着るTシャツのチャートを作ってみよう!」
「うん、素晴らしい!」
その結果は?
→気象予報士が着ているTシャツの柄なんて、みんな気にも留めない。
→ビル氏がこのことを悟ったのは、出来上がったチャートのプロモーションを始めようという段階になってからだった。
一方
KingOfClimate.comのヘイルストーム・ハル氏はこう考えた。
「私が作りたいのは、人々が本当に求めるもの、本当に気に入るものだ」
「気象の専門家たちは、何について話しているのだろうか?」
『シンシナティの天気予報はまったく予報しにくい』『でもシアトルよりは、ずっと当てやすいよ』『まさか、嘘だろ』
「そうだ。いいことを思いついたぞ!」
「ほら、アメリカの天気予報の正確さを表す地図だ!」
プロセスとヒント
1) コンテンツ作成にとりかかる前に、自分の業界やニッチ、コミュニティについて知る。
2) 掲示板、Q&Aサイト、ソーシャルメディア、ブログのコメントなどを利用して、質問や興味、ニーズを呼び起こすトピックや議論を見つける。
3) 作成したものが、オリジナルなもので他の人が実際に共有してくれるものであることを、人々に働きかけて実際に話をして検証する。これにはTwitterやGoogle+、メールが使える(ConspireとVoilaNorbert)
4) ビジュアルコンテンツやインタラクティブコンテンツは、テキストよりはるかに優れた効果を発揮することが多い。
5) オーディエンスの目的と君のビジネス上の目的を一致させる。ただし、ここから得られるメリットの多くは間接的で長期的なものだ。

Mozファンのみんな、こんにちは。ホワイトボード・フライデーにようこそ。さあ、2015年だ。今年も実に多くのマーケターが、大量のコンテンツに資金を投じコンテンツマーケティングに取り組むことになるだろう。

コンテンツマーケティングを行う目的は、次のように多岐にわたる

  • SEOからトラフィックの獲得
  • ニュースレターやメールリストの拡大
  • リンクや注目の獲得
  • ソーシャルチャネルの成長

しかし残念ながらコンテンツマーケティングには、昔から繰り返し悩まされている問題がある。それは、こういうことだ。

コンテンツマーケティングの問題点

自らの取り組みがオーディエンスの目にとまり、気に入られ、よい評価が得られるかどうかがわからないうちに、コンテンツへの投資を行っていること。

これは最悪だ。なぜなら、もともと高いリスクのあるプロセスに、さらなるリスクを加えることになるからだ。君は、自分が作っているコンテンツに多くの労力をかけるだろうね(うん、労力をかけてほしいよ。力を入れる気がないんじゃあ、うまく行くかどうかなんてわかるはずがないからね)。僕が言いたいのは、君の注ぎ込んだ労力がすべて無駄になりかねないってことだ。

ここで2つの例をお見せしよう。仮にレイニー・ビル氏と、ヘイルストーム・ハル氏とでもしようか。どちらも、気象関連のメディアを運営している人だと考えてほしい。

アイデア先行型のコンテンツマーケティング

まず、レイニー・ビル氏の話から始めよう。ビル氏は、自分のサイトWhatTheWeather.comのコンテンツマーケティングに資金を投じたいと考えている。

そこで彼は、あるアイデアを思いつく。

気象予報士が季節ごとに着るTシャツのチャートを作ってみたらどうだろう。テレビやインターネットに出ているすべての気象予報士を見て、着ているTシャツを調べよう。みんなTシャツを着ているし、大がかりなチャートを作れるぞ!

ばかげたアイデアだと思うかな? 僕はもっとひどい例も知っている。しかし、レイニー・ビル氏はこう考える。

やってみたら、相手に強く訴えかけるエゴベイトになるにちがいない。気象予報士をみんな巻き込むぞ。全員のTシャツを取り上げるのだから、当然、全員が注目して、みんなが僕にリンクを張ったり、話題にしたり、ソーシャルメディアチャネルで共有したり、友達にメールで教えたりしてくれるだろう。見て見て、と自分のFacebookに載せたりもするにちがいない。

※Web担編注 「エゴベイト」とは、特定の人、あるいは集団の注目を引くために作られた(コンテンツ)資産のこと。基本的に、そのコンテンツで取り上げた人物/人々/企業のエゴ(自尊心)に訴えかけるもの。

良い案だと考えたビル氏は、これを作成する。気象予報士が季節の変化に合わせて着ている、さまざまなTシャツが表示されたすばらしいチャートを作って、大満足だ。

実にすばらしい出来栄えだと喜ぶが、いざ公開してプロモーションしようとする段階で、悲しい現実に直面する。

ふたを開けてみると、ビル氏の情報には、だれも見向きもしなかったのだ。

気象予報士が着ているTシャツの柄など誰も気にも留めない。ビル氏がこのことを悟ったのは、すでに資金を投じてコンテンツを作り、プロモーションを始めようという矢先になってからだった。

もう泣くしかない。

そのアイデアは、ターゲットに響くのか?

これは、少しばかげた例かもしれない。しかし、コンテンツへの資金投入に関してまさにこのとおりのことをしているマーケターの例を、僕は数限りなく目にしてきた。

みんな、「新しいオーディエンスにリーチしよう」とか「話を広めてもらおう」といった目標を達成できると思って何かを作るのだが、まったくの失敗に終わる。その主な理由は、誰とも話し合うことなくそのアイデアを思いついたからだ。他の人が関心を持つかどうか確かめもしないで、さっさと作ってしまった。

これは実際、とんでもない考え方だと言っていい。君が業界の実情に通じていて、事前のプロセスなど不要と言い切れるほど精通した分野に関するコンテンツだというのでない限り、まずはターゲットとなるオーディエンスと話をして理解を深めたあとでなければ、うまくやれる人はまずいないと、僕は言いたい。

ターゲットニーズ把握型のコンテンツマーケティング

一方、KingOfClimateのヘイルストーム・ハル氏は、コンテンツについてすばらしいアイデアを思いつくのではなく、あらゆるコンテンツマーケティングが生まれ出た基本的考え方から出発することにした。

つまり、こういう考え方だ。

私は、人々が本当に求めるもの、本当に気に入るものを作りたい。

彼は、人々が求めていて、実際に見て手に入れたときに気に入るようなものを作ろうとした。

そこでハル氏は、こう問いかける。

気象の専門家たちは、何について話しているのだろうか?

このコミュニティの人たちや、この業界で活躍している人たちや、情報を共有したり広めたりしている人たちや、一般の僕たちが目にするものに影響を及ぼす人たちは、何について話しているのだろうか?

そこで天気に関するある掲示板を訪問してみると、こんな文句を言っているのを目にする。

シンシナティの天気予報はまったく当たらない

それに対して、こんなやり取りがあった。

そうだね。でもシアトルよりは、ずっと当たるよ

まさか、嘘だろ

それを見て、ハル氏はすばらしいアイデアを思いつく。

そうだ。こういうオンライン上のコメントをすべて拾ってきて、何か役に立つものに変えたらどうだろう。ここでコメントしている2人のどちらが正しいか、互いに証明できて、それがどの程度か人々も確認できるようなものを……。

これは、掲示板で会話をしていた2人にとって便利なだけではない。かなり広く社会の役にも立つ。

天気予報は、平均して、都市ごとにどれくらい正確なのだろう? 実際のところは僕にもわからないが、サンディエゴに出かけるときにわかっていれば最高だと思う。休暇で妻の実家に遊びに行ったことがあるんだ。サンディエゴの天気予報は、ここシアトルでいつも見ている天気予報より当たる確率はもっと高いのだろうか、もっと低いのだろうか。

そこでハル氏は、このすばらしい地図を作ってみる。米国のさまざまな地域が図示されていて、たとえば中西部では実際、天気予報の当たる確率が沿岸部より高いのか低いのを見られる。

これはすごい。すばらしい。最初に業界を理解しないままに自分だけで思いついたアイデアにどんなものがあったとしても、それよりははるかにうまくいくはずだ。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後半となる次回は、オーディエンスのニーズを調べるためのプロセスとヒントを紹介する。→後編を読む

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