物流の大失敗から学んだこと─ 物流業務がパンク寸前に陥った原因と改善ポイント | 村川智博の「ピンチはチャンス!」 | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2017年7月19日(水) 08:00
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はじめまして。株式会社ベクトルの村川と申します。「ゴミバコのないセカイへ」を経営理念に、全国に94店舗展開するリサイクルショップ「ベクトル」や、ブランド古着通販サイト「ベクトルパーク」などを運営しています。

趣味のスニーカー集めが高じて2003年に会社を設立し、全国的にフランチャイズ展開。今や会社の売上高は40億円を突破したのですが、その影には数えきれないトライ&エラーがありました。

このコラムでは私自身の失敗談を赤裸々にお話し、どのように問題を改善し、成長へと結びつけたのかをお伝えします。 イラスト◎なとみ みわ

2016年秋、ベクトルで物流トラブル発生!
ふ〜 爆発回避成功〜 プルプル ギャー!!

ベクトルでは、お客様から店舗や宅配買取サイト「フクウロ」などを通じて商品を買い取り、自社ECサイト「ベクトルパーク」や他社モールへ商品の掲載作業を行い、その後、商品を倉庫へ送って保管・管理をしています。

数年前から商品の保管と、注文が入った時の商品のピッキングと出荷作業を倉庫会社にアウトソーシングしています。

近年、事業拡大に伴い物量が急増しました。アウトソーシング先の第一倉庫と言われるところで商品を管理していたのですが、そこでは管理しきれず、もう1か所倉庫を借りました。さらにそこでも管理しきれず、第一倉庫、第二倉庫、第三倉庫と倉庫が増えていきました。その結果、商品を発送する際に、各倉庫へ商品を取りに行かなければならないという作業が増えてしまいました

当時、出荷数などのおおまかな物流管理は行っていましたが、販売予算に対して実績値がどうなっているかまでは管理を行っていませんでした。

出荷作業の遅れはどんどん蓄積し、次第にお客様に商品が届かなくなりました。最大2週間の遅延。買取商品数の増加に処理が追い付かず、ついに倉庫がパンクしてしまったのです。

出庫の遅れがキャッシュフローにまで影響

時は繁忙期。出荷の遅れを一刻も早く解消するために、入庫の人員を出荷にあてました。しかし、そうすると次は入庫の遅れが発生。入庫が遅れると、お客様から買い取った商品をサイトに掲載しても、倉庫へ送ることができません。商品を送っても入庫されないからです。入庫されないので結果として売り上げにならない……。

お客様からのクレームに追われる日々。ベクトルは店舗を一部フランチャイズとして展開しているので、加盟店さんからのクレームも発生し、さらにはキャッシュフローが悪化するという最悪の事態となりました。

担当者は気付いていた……!

「このままだと、いつかはパンクするかもしれない」。残念なことに、担当者は倉庫の危機的な状況に気付いていたと言います。しかし、上司に報告しませんでした。「リスクを報告できない」という恐ろしい文化が社内にできてしまっていたのです。

今回のトラブルは、リスク報告をする体制ができていなかったことが根本的な原因だったのです。総力をあげて、緊急で改善することになりました。

とはいえ、まずは急いでお客様に商品を届けなければいけません。配送のタイムラグを通常時まで戻すことが最優先事項なため、別の部署の社員を毎日10人~20人派遣し、倉庫でフル稼働で作業を行い、私も自ら倉庫へ足を運びました。

各倉庫に出向いてみると新たに気付いたことがありました。そこは決して効率的な環境とは言えなかったのです。さらに調査をしてみると、およそ1年前から4日~5日も遅延が発生していたという事実が発覚しました。

日々の進捗を確認し、数値管理を徹底

新しく専任の物流担当者をつけ、1日のサイトの商品掲載数などを集計し、アウトソーシング先の担当者と毎日データを照合しました。日々の進捗を確認し、数値管理の徹底を図ったのです。

続けていると少しずつ物流に関わる数値の予測ができるようになりました。これまでは、物流の予算に対する実績値の比較ができていなかったのですが、次第に精度が増し、問題発見ができ、物量の見通しが立つようになってきたのです。

そうすると、「1か月にこれくらいの物量になりそうだから●●人の人員確保が必要」という予測が、初めてできるようになりました。そしてそれが結果的に、配送のタイムラグの短縮へとつながりました

私がこの失敗から学んだこと ①人任せにしない、自分の目で確かめる

「物流の流れさえ理解していれば、現場は見なくても大丈夫」というのは大きな勘違いでした。

アウトソーシング先を実際に自らの目で、どのようにやっているのか、どんなやり取りを行うのかを確認しなければボトルネックが分かりません。私の場合、管理方法さえ知らなかったのです。

これは物流だけでなく、例えばSEOや広告展開をアウトソースするときも同様です。アウトソーシング先がどのように運用しているのか確認し、理解しておく必要があります。

②リスク報告ができる社内体制を作る

大きな問題が起きてからリスクに気付いては手遅れです。どんなビジネスにおいても常にリスクを想定して事業に取り組まなければなりません。まずは少しでもリスクを感じた時に、報告するように徹底しました。

事業部ごとの会議でリスク報告を行う時間を作り、リスク報告した人を褒めるなど、報告しやすい社内環境を作りました。「上司へ報告する際は悪い報告からするように」とも伝えています。

③常にボトルネックに注意する

サイトに商品を掲載し、受注が入ったら際にスムーズに倉庫から出し、入金確認をして、倉庫から出荷するという一連の流れの中で、ボトルネックは常に移動しています。

サイトの商品掲載が多過ぎたり、予想より売れ過ぎたりすると物流が止まる事態につながりかねません。お客様に商品をお届けするまでの全フローにおいてデータを取り、予算と実績値を比較し、管理をすることが大切だと気付きました。売上だけに注目し、売上を増やし続ければ良いと思うのは大きな間違いです。

◇◇◇

私が物流トラブルを解決するために参考にした本があります。それは『ザ・ゴール ─ 企業の究極の目的とは何か』(ダイヤモンド社刊)という書籍で、ある工場がボトルネックを解決しながら業務改善をしていく小説です。

予測と現実を合わせていくこと、日々データを計測すること、どのような規模の物量にするかを決めることは、利益を追求するすべてのビジネスに関連するテーマです。自分のビジネスを置き換えて読み進められるので、ビジネス上の問題点も明確に見えてきます。ECサイト運営者にはオススメの1冊です。

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オリジナル記事:物流の大失敗から学んだこと─ 物流業務がパンク寸前に陥った原因と改善ポイント | 村川智博の「ピンチはチャンス!」
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株式会社ベクトル 村川 智博
村川 智博
株式会社ベクトル

1976年岡山市生まれ。アパレル品の買取販売を中心としたリサイクルショップから事業をスタートし、2003年に有限会社ベクトル(現、株式会社ベクトル)を創業。2012年には人材育成を目的としたベクトル大学の設立などCSR活動にも積極的に取り組んでいる。

 

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