「刺さるリリース」を書くために必要なたった2つのこと~インプレスの安田英久氏に聞きました | ネットPR.JP

ネットPR.JP - 2016年10月20日(木) 10:19
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刺さるリリースを書くために必要なたった2つのこと

「刺さるリリース」「響くリリース」って、どうしたら書けるの?

リリースの書き方は覚えたけれど、いまひとつ何かが足りない。目につきやすいリリースとの違いはいったい何だろう?

初心者からステップアップするためには何が必要なのか。「Web担当者Forum」編集長の安田英久氏に伺いました。

お話を伺った方
安田 英久氏(株式会社インプレス Web担当者Forum編集長、ネットショップ担当者フォーラム編集統括)

リリースの「守破離」

──出版とWebメディアに長年携わっている安田さんに今回お聞きしたいのは、基本的なリリースの書き方は覚えたけれど、それだとまだ凡庸でパッとしない、キラリと光るポイントが作れない。そういった壁を感じている広報担当者に、何かブレイクスルーのアドバイスをいただけないかと思いまして。

安田(以下敬称略):けっこう無理言うなぁ(笑)

──すみません(笑)

安田:どんな仕事でも同じなんですけれども、スキルというのは必ず「守破離」という段階を経て磨かれていく。お手本通りにリリースを書くのは、基本を守っている「守」の段階ですよね。

そこから基本の型を破って、自分のオリジナルの技にしていくのが「破」と「離」なわけですが、ブレイクスルーで「守」から「破」にステップアップするにはどうすればいいか?

それには、次の2つのことを明確にする必要があります。

「ゴール」と「ターゲットセグメント」

──2つのこと。それはなんでしょうか?

安田:「ゴール」と「ターゲットセグメント」の2つです。

リリースのお手本というのは、どんな要素をどんな順番でどう書くかは示していますが、あくまでも一般論なんですよね。「守破離」の「守」から「破」に行くということは、このお手本どおりではなく、「そのリリースのネタに最適な伝え方」に変えていくということ。

では、何をもとにやり方を変えたらいいのかを考えていくときに大切なのが、「ゴール」と「ターゲットセグメント」の2つなんです。

まず、ゴールというのは「どうなったら成功と見なすのか」、また逆に「どうならなかったら失敗と見なすのか」ということです。

何のためにリリースを出すのか?という質問をすると、多くの人は「記者に取り上げてもらって記事にしてもらうため」と答えると思います。

でも、記事にしてもらったらそれでOKなんでしょうか。記事になった後はどうなればいいのか? 記事を見た人にどういう行動を取ってほしいのか?

「誰に」動いて欲しいのか?

──記事になった後に何が起きてほしいかまで考える。

安田:メディアに載ることがゴールではないですからね。それによってどんな効果を出したいかがあるはずですよね。

たとえば、「記事を見てくれた人に自社の製品やサービスを買ってもらうこと」をゴールにしたとします。でも、ビジネスってそんなに単純ではなくて、エンドユーザーの手に渡るまでに、いくつか段階があるわけです。

そこで、もう1つの「ターゲットセグメント」が重要になってきます。「誰に、そのゴールを達成してもらうのか?」という問いがセットになっていないと意味がないんです。

たとえば、BtoCの一般消費財で考えてみましょう。わかりやすい例で言うと、日用品などはスーパーの店頭で手に取ってもらうのが一般的ですよね。じゃあ、自社の商品を仕入れているのは誰なのか、スーパーの棚に並べているのは誰で、その人はどういう考え方で棚に並べる商品を選んでいるのか? どうやったら棚の良い場所に置いてもらえるのか?

「そんなの営業や販促の仕事だから、広報ではわからない」じゃなくて、たくさん棚に並べてもらうことで売り上げを伸ばしたい場合は、スーパーなどのマーチャンダイジングの担当者が見て「コレいいかも!」と思ってくれる文章をリリースに入れ込むことで、狙ったゴールを達成できるかもしれない。

すると先ほどの「誰に」は、「小売業のマーチャンダイジングの担当者」ということになります。

相手のニーズに刺さるコミュニケーションとは?
株式会社インプレス 安田 英久氏

株式会社インプレス 安田 英久氏

──ゴールを達成するために動かしたい相手を、より具体的に絞るわけですね。

安田:ターゲットセグメントというと、多くの人が「女性、20代」といったデモグラフィックなターゲティングを考えると思います。もちろん、そういう属性的なことも大切ですが、たとえば20代の女性でも、独身か子どもを持つ母親かで生活上の課題やニーズは違います。さらに母親でも専業主婦か働いているかでまた違う。

マーケティングの基本は、ターゲットを明確にして、そのターゲットのニーズ──わかりやすく言うと、欲求、願望、不安、不満、困ったなど──を把握して、そこに刺すコミュニケーションを作っていくことです。それは我々がコンテンツを作るときも、企業がリリースを書くときも同じはずです。

ターゲットが具体的にどんなことに困っているのか? それがどうなったらうれしいのか? といったことを明確にしていくと、「守破離」の「破」に向う考え方が見えてくるのではないでしょうか。

──「刺さるリリース」を書くには、ターゲットが置かれたシチュエーションや意思決定の動きをより具体的にイメージすればいいということですね。

安田:そうですね。ただし、そのとき忘れてはいけないのが、ターゲットはあくまでも「ゴール」を達成するために動いて欲しい「誰か」だということです。

ゴールを達成するには、リリースを通じてコミュニケーションをして人を動かさなければいけない。人を動かすには、相手にとって良いもの、相手が動く気になる情報を伝えなければ動いてくれない。

では、どういう情報を伝えたら相手は動いてくれるのか?

それには、相手が気にしていること、その人が困っていること、悩んでいることにスポットを当てればいい。そのニーズを明確にするためにターゲットセグメントを明確にするんです。

ユーザーはなぜ自社商品にお金を払ってくれるのか?

──ゴールを達成するために、誰にどのように動いてもらいたいか? そこをリサーチして明確にしていけば、ブレイクスルーできるわけですね。

安田:相手が動く気になってくれる情報というのは、企業や商品、サービスによっていろいろあると思います。自社の商品を買ってくれる人は、なぜそれにお金を払ってくれるのか? それを把握していったら、自社のニュースネタはいろいろ掘り起こせるはずです。

たとえば、その会社には150年の歴史があって、その実績を信用してもらっているからビジネスが成り立っているのだとしたら、広報の仕事としてその信頼をさらに厚くするために、自社の歴史にまつわるエピソードを掘り起こすことがプラスになるかもしれない。

社内の製品開発の人たちが優秀で、その人たちのモチベーションが上がることで売り上げが伸びる製品につながるのなら、開発者にスポットを当てた情報発信をすることが結果として売上を高めることになるかもしれない。

──そのように商流や情報の流れやお金の流れを具体的にイメージすることで、広報の情報発信の幅が広がっていく、と。

安田:営業や商品開発の人たちは、日々そうしたことをやっているわけです。広報の仕事のベースも同じということです。

……とはいえ。

──とはいえ?

ゴールとターゲットセグメントを明確にして、狙う人たちに「刺さるリリース」を自分なりに作れたとしても、リリースですからやはり記者に記事として取り上げてもらったり、番組で使ってもらわなければ情報を広く拡散することは難しい。

記者が「タイトル」を見るのは2秒以下

──そうですね。

安田:そのときに大事なことが、大きく2つあります。「タイトル」と「リード」です。そこがダメなら、どんなに中身が良くできていても、記者は見てくれません。

基本的に、記者って忙しいんです。想像以上に忙しいから、個々の情報にそれほど手間をかけてくれないんですよ。

昔は、リリースはファックスか郵送で届いたので、パッと見たら全体像が見えて、写真も目に入りました。でも、今はほとんどがメールで届きます。

メールでリリースを受け取る記者が、どんな環境でそれらを目にしているのかイメージしてみてください。

最初に目に入るのは、メールの一覧ですよね。少なくともそこには本文は出ていません。画像も出ていません。昔と違って、本文も写真もまったく目に入らないんです。

しかもメール配信になってから届く量が爆発的に増えて、1日500~600通は来ています。そのうち9割は、自分が携わっているメディアとは関係ない情報です。

すると、どうなるか。1日に500通チェックするとして、1通あたり10秒かけたら全部確認するのに83分かかります。

株式会社インプレス 安田 英久氏

──そんなに時間はかけませんよね。

安田:はい。1通2秒なら16分で済みます。まぁ、そのくらいが妥当ですね。

我々はどうやって見ているかというと、タイトルだけザーッと見て、「ん?」と思ったものは30秒かけて本文を見る。さらに「これはどうだろう?」と思ったら10分かけて調べる。そんな感じです。

ですから、サブジェクトで「ん?」と思わせるには、先頭の20文字でその媒体にとって有益な情報であることがわかるようにする必要があります。それだけで見てもらえる確率が上がります。

「リード」というのは、全体の要点をまとめた冒頭の文章です。30秒かけてチェックするときに最初に見る部分。ここに「平素より大変お世話になっております」なんていうご挨拶はいりません。端的に、要点を伝えてくれればいい。

その上で、中身は先ほど言ったように、ターゲットセグメントの人に響く内容で、かつそのメディアの特性にマッチしていればゴールは達成できるのではないでしょうか。

もっと言うと、リリースが「どんな人にどんな価値を提供する内容か」がわかりやすく作られていれば、記者もどう伝えるといいのかをイメージしやすくなっていいですしね。

SNSでシェアされる文字列にも配慮を

──メールのサブジェクトの部分が、リリースの「タイトル」に当たるわけですね。

安田:イメージとしては、本屋さんの棚に大量の書籍が並んでいる中で、背表紙のタイトルだけで手に取ってもらうにはどうしたらいいか? そのくらいタイトルはよく考えたほうがいい。

また、タイトルを考えるに当たっては、メディアの記者に見てもらうためのタイトルのほかに、ソーシャルメディアでシェアされるためのタイトルという考え方もあります。たとえば、TwitterやFacebookでシェアしたときに、タイムラインにどんな文字列が表示されるか。

このときも、タイトルとリードだけで内容がわかってシェアしたくなるくらいわかりやすいほうがいい。特に若い人にシェアしてもらいたいなら、本文を読み込まなくてもパッと内容がわかることが大切です。

ソーシャルメディアの拡散でもう一つ考えたいのが、ユーザーがどういうコメントをつけてシェアするかをイメージすることです。

「すごーい!」「待ってました!」なのか。

「いや、ちょっと待てw」といったツッコミ系のコメントなのか。

「○○ちゃんに教えてあげよう」なのか。

それによって、書くときの文体や情報の味付けが変わってくると思います。

もちろん、ソーシャルメディアでも最初に言った「ゴール」と「ターゲットセグメント」の2つを明確にするのは変わりません。というより、コミュニケーションの基本は何でも一緒なんです。相手が何を気にしていて、どうなれば喜ぶのかですね。

これを押さえておけば、実は社内コミュニケーションにも使えます。

相手に「刺さる」=「効くコミュニケーション」

──社内コミュニケーションにも?

安田:自分が求めるゴールを達成するために、事業部や経営層に納得してもらって動いてもらわなければいけないことって、多々ありますよね。でも、なかなか思ったように動いてくれない。

そういうときも、「相手が一番気にしているのは何か、何を理解できるのか、何をよくわかってないのか」を考え、それを中心にコミュニケーションを考えます。

たとえば、相手が売上ベースで物事を考えている人だったとします。そういう人にPVやコンバージョンの話をしても通じません。そういう場合は「売上」という共通のテーマでコミュニケーションするのが大切です。

そうやって「効くコミュニケーション」を身につけていくことで、リリースの質は上がるし、仕事自体がどんどん面白くなっていくんですよ。

──「ゴール」と「ターゲットセグメント」を明確にすることが、リリースの質を高めるだけでなく、ソーシャルメディアでのコミュニケーションや社内コミュニケーションにも役立つというお話、大変ためになりました。

貴重なお話をありがとうございました!

株式会社インプレス 安田 英久氏

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